「なんかおかしい」という感覚
本日は、なんかおかしいぞという感覚に関する報告です。
ぱっと患者さんをみたときに(ファーストインプレッション)、緊急性があるとか、やばい状態だ。と思うのは、感覚的なものが大きいと思います(もちろん経験に裏打ちされたものですが)。
また、重大な病気(Sick感)かな?と感じることも大切です。
今回はER現場でのSIck感の精度についての検討です。
Am J Emerg Med. 2013 Oct;31(10):1448-52. doi: 10.1016/j.ajem.2013.07.018. Epub 2013 Aug 22.
"Sick" or "not-sick": accuracy of System 1 diagnostic reasoning for the prediction of disposition and acuity in patients presenting to an academic ED.
目的
診断には、システム1とシステム2に大別されます。
システム1は、直感的な診断で早いが、漏れがある可能性
システム2は、漏れは少ないが、時間がかかる(例VINDICATEなど)
今回は、システム1を用いた救急医(EP)によるSick感予測を評価しました。
方法
EPと救急患者に関する前向き観察研究。
医師は、患者の人口統計、主訴、バイタルサインデータを提供され、最初の診察で2つの評価を行った。
(1)ファーストインプレッション
(2)「Sick感」対「Non-Sick感」
について検討。
結果
178人の患者で266の観察結果を得た。
その結果、
(1)ファーストインプレッションの精度
感度87.7%(95%CI 81.4-92.1)
特異度65.0%(95%CI 56.1-72.9)
LR + 2.51(95%CI 1.95-3.22)
LR − 0.19(95% CI 0.12-0.30)
第一印象で、危険度は低いと思ったものは、たいてい大丈夫だけど、
危ないなと思ったのが当たる確率はそんなに高くはない。
(2)「Sick感」対「Non-Sick感」
感度66.2%(95%CI 55.1-75.8)
特異性88.4%(95%CI 83.0-92.2)
LR + 5.69(95%CI 3.72-8.69)
LR -0.38(95%CI 0.28-0.53)
重大な病気ではないと思っても外れる可能性があり、
重大な病気かもと思ったものはたいてい当たる。
だった。
経験豊富な救急医の、なんかやばいといったような感覚は、
高い精度で当たっている。
しかし、大丈夫だと思っても、やばいケースもあるという感じ。
医師だけじゃなく、家族のなんかいつもと違うという訴えも大切です。
こうした精度は、経験豊富な医師においてのものだと思うので、鍼灸師や初学者では、ばらつきはでるでしょうが、この精度は1つの目標値になるのかもしれません。