筋膜について
本日は、筋膜について少しだけ書きます
。
筋膜リリース・筋膜マニュピレーションなど筋膜を施術標的とした手技もあることから、筋膜の重要性がなんとなく分かります。
鍼施術においても、筋膜刺激を行い効果が変わることもしばしばあります。
しかし、そんな筋膜について色んなことが分かってきたのは、ごく最近です。
アナトミートレインという本が出版された頃ぐらいから日本でも筋膜という言葉が臨床現場でも多く聞かれるようになってきました。
筋膜とは、
以前は、筋外膜・筋周膜・筋内膜の3つを総称しているものでしたが、
その後、
浅筋膜~皮下組織浅層と浅筋膜
深筋膜~皮下組織深層、深筋膜、ヒアルロン酸層
が加わった。
しかし、気を付けたいのは筋筋膜痛と呼ばれる病態で指される筋膜は、
fascial painではなく、Myofascial painなので、筋組織の筋膜(筋外膜など)を指します。
筋膜は、全身をボディースーツのように覆うだけではなく、筋の中にも入り込んだりしているので、第2の骨格とも呼ばれます。
この筋膜は全身を14通りの配列で包み込んでいます(筋連結・アナトミートレイン)。
筋膜の働きとして、鍼灸とも関りがあると思われるものに、
「自律的収縮能」があります。
筋膜にある平滑筋様細胞には、筋線維芽細胞が多く含まれており、創傷治癒過程で、傷口を閉じる線維を作り出すことが報告されています。
こうした働きは、特に筋周膜に多くあるとされています(Tissue Cell.1980;12:197-207.)
この機能は、現在ある仮説が提唱されており、
体を動かさない不動の状態、交感神経緊張、低酸素などで、
線維芽細胞が筋線維芽細胞に変容し、筋膜硬化を促進
ストレッチや鍼刺激などで
筋線維芽細胞から線維芽細胞に戻り、筋膜の柔軟性を取り戻す
という流れがあるとされている(Nat Rev Mol Cell Biol.2002;3:349-63.)。
この仮説は、臨床状で経験する筋硬結の説明にも使える。
以前は、運動終盤機能異常⇒アセチルコリン分泌⇒筋原線維の異常収縮⇒硬結
という大まかな流れだったが、運動終盤は筋腹に多く存在することから、硬結がでる場所は筋腹になってしまう。しかし、筋硬結は筋腱移行部や付着部などにも多くある。
しかし、交感神経の緊張⇒筋膜(筋線維芽細胞)の収縮⇒筋膜硬化⇒筋硬結
と考えると少しスッキリします。
まだ不明な点もいくつかありますが、鍼刺激による筋硬結緩和には、こうした説明ができるのではないでしょうか?