気象病(天気痛)について。
約10年前に大学の卒論で「気象病について」の卒論を書きました。
それ以降、あまり調べてはいなかったのですが、久しぶりに読んでみました。
Fagerlund AJ, et al. Blame it in the weather? The association between pain in fibromyalgia, relative humaidity, temperature and barometric pressure. PLoS One. 2019 May 10;14(5):e0216902.
Sato J, et al. Lowering barometric pressure induces neuronal activation in the superior vestibular nucleus in mice. PLoS One. 2019 Jan 25;14(1):e0211297.
Lee M, et al. Weather and health symptoms. Int J Environ Res Public Health. 2018 Aug 6;15(8).
気圧の低下は、天候関連の痛みを引き起こすことが示唆されています。
しかし、その影響は人では少ないという報告もあります。
ラットでの研究では、気圧を下げることで、内耳にある気圧センサーが働いて交感神経の亢進から痛みに関与することが報告されています。
こうしたラットでの結果は、前庭神経活動を亢進させるメカニズムと類似する点がある(気圧変化と前庭神経の関係は不明)。
雄(n=18)と雌(n=16)のマウスを気候室に入れ、1013hPaから50分かけて40hPa下げていった(LP刺激)。
前庭神経核の活性化してるかどうかは、c-Fosタンパク質の発現をマーカーとした。
このc-Fos細胞の総数を両耳で数えること。
マウスの行動観察(アクティビティスコア)
を行った。
その結果、
LP刺激により、前庭神経上核(SuVe)は有意なc-Fos発現が認められた。
外側前庭神経核(LVe)、内側前庭神経核(MVe)、脊髄前庭核(SpVe)は有意差なし。
アクティビティスコアには変化はなし。
前庭神経核が気象病に関わっている可能性が示唆される結果でしたが、人でも同様に起きるかはこの時点では不明なまま。
日本人も気象病を訴える方は多いのですが、日本全国の4548人を対象に天気と健康関連を調べたものでは、
天候変化による症状では、関節痛を訴える人が多く、気温や湿度の変化で現れやすい。また頭痛は湿度の影響がありそう。
性差では、関節痛は、気温変化では女性、湿度変化では男性に多い。
頭痛の女性では、湿度変化で痛くなる。
年齢別では、18歳以下の関節痛は気温変化に弱そう。
また65歳以上の関節痛では、気温変化に弱そう。
比較的湿度よりも気温の影響を受ける人が多い印象。
でも、臨床現場では雨が降る前なので湿度かな?と思っていました。
反対に気温変化で症状が軽減する傾向になるものもありました。
くしゃみや咳、咽頭痛や寒気、風邪などは暖めると症状緩和につながるかもしれません。単純に考えればお灸とか?
65歳以上の頭痛患者さんでは気温が上がると-2.81なので、暖めるといいのかもしれませんね。
検証しないと分かりませんが。