更年期障害について
本日は更年期障害について、最近の報告をいくつかまとめてみました。
相良洋子.更年期障害の治療における心身医学的視点の重要性.Jpn J Psychosom Med. 2018;58:688-695.
横地美那、他.更年期症状で婦人科を受診している女性の体験.J Jpn Acad Midwif. 2015; 29(1): 59-68.
宮上景子、他.最近の更年期障害の管理.昭和学士会誌.2017; 77(4): 367-373.
女性のライフステージは、
小児期~思春期~性成熟期~更年期~老年期
と区分され、更年期は「卵巣機能低下に心理社会的因子およびライフスタイルの影響で様々な症状が起こりやすい時期」で、
閉経の前後5年間を更年期と呼び、この期間に現れる日常生活を阻害する非器質的症状を更年期症状と呼ぶ。
日本人女性の閉経年齢(記憶に基づく)
50歳が最も多いが、46-53歳の範囲で8割ぐらい。
平均年齢49.47歳なので、更年期は45歳~55歳で起こる人が多いと思われます。
(日産婦会誌.1995;47:947-952.)
更年期障害の病態
更年期症状は、
精神的症状
その他
に大別。
いずれにも加齢に伴うホルモン変化を基盤にして起こるが、どれに属するかは、
その方の社会的要因(家族・仕事・人間関係など)と心理的な要因(生来の性格・生育歴など)で変わってくる。
更年期症状の分類での頻度
更年期障害と判断する前に鑑別疾患を除外する。
器質的疾患がないこと、もしくは今回の症状との関係性をきちんと探る必要がある。
こうした更年期障害を体験した女性の辛さや感情を知ることは大切。
婦人科受診でも女性には抵抗感があるようです。
治療としては、
ホルモン補充療法(HRT)
自律神経調整薬
向精神薬・精神療法
などがある。
選択する際には、
卵巣機能低下(エストロゲン欠乏)に伴う自律神経失調症状(血管運動症状など)が強いか?
心理社会的要因による精神症状(不安感・抑うつなど)が強いか?
を判断することで、選択肢が変わってくる。
漢方薬では、当帰芍薬散・加味逍遥散など。加味逍遥散はホットフラッシュ・抑うつ・不安・睡眠に関してHRTと同等の効果がRCTで認められた(日女性医会誌. 2012; 20: 305-312.)。
ホルモン補充療法を選択する際には、注意しないといけないことがいくつかある。
ざっと、まとめるとこんな感じになります。
安易に更年期障害と決めない。⇒施術に変化がないときは、病院を勧める。
体や心は辛いけど、治療を受けることに抵抗がある。ことを意識して施術に臨む。
など、体験者がどう感じ、どう思っていたのかは、非常に参考になりました。