手が暖かいと心も暖かいは本当かもしれない
本日は、体への刺激が心に与える影響についてです。
行動や姿勢が気持ちに影響を及ぼす
反対に、気持ちが体に影響を及ぼす
といったように、身体と心は連動することが知られています。
それらを脳科学で実証する試みなどが報告されています。
今回は、脳科学ではなく、別の実験方法でその一部分を検証しようとした報告です。
Williams L.E. et al. Experiencing physical warmth promotes interpersonal warmth. Science.2008 Oct 24;322(5901):606-7.
実験は、白人女性41人(平均年齢18.5歳)を
ホットコーヒーとアイスコーヒーのいずれか持つ2群に割り付けた。
それぞれのカップを1秒間把持してもらい、その後見知らぬ10人が写った顔写真をみてもらう。そして、その顔写真をみた印象を回答してもらうという方法。印象度は、冷たい人に感じる1点、暖かみのある人に感じる7点と1~7点の範囲でも回答してもらう。
その結果、
ホットコーヒーを把持した人は、アイスコーヒーを把持した人に比べ、温和な印象を抱いた。
ホットコーヒー群:平均4.71点
アイスコーヒー群:平均4.25点
と統計学的な有意差が認められた。
このように、簡単な実験内容ではあったが、そこから得られた結果は、
身体に与えられる温度刺激が、対人関係の印象に影響を及ぼすことが示唆されるというものでした。
鍼灸師は、患者さんに触れる仕事です。
患者さんが安心しリラックスして受けていただくためには、施術者の手が暖かいことはもちろんですが、患者さん自身の体も温めてあげると、相乗効果があるかもしれません。
正直、研究内容としてはどこまでの信頼性があるかは置いといて、こうした心理的な要因も加味したアプローチをする必要があるとは思います。