都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

問診の面白さと難しさ

本日は、問診で用いるテクニックの効果についてです。

 

引用文献は、

Keeling SO, et al. Preliminary validation of a self-reported screening questionnaire for inflammatory back pain. J Rheumatol. 2012 Apr;39(4):822-9.

 

腰痛を引き起こす疾患の中には脊椎関節炎(SpA)などの炎症性腰痛(IBP)がある。

脊椎・股関節のこわばり、夜間痛、日内変動、運動・安静の影響、末梢関節痛・腫脹を評価するアンケート表を作成し、SpAを有する220人と66人の機能的腰痛患者に対して行った。

 

質問票は以下のように、「はい」か「いいえ」で答えるクローズドクエスチョン形式を使うCalin質問票

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比較の質問票として、

6項目質問票を使い、こちらは質問に対してもう少し選択肢を増やしたオープンクエスチョンの質問票を使用。

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その結果、

各項目の質問による診断精度は、

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となった。

 

1.朝のこわばり

Calin質問票の4:特に朝、腰がこわばりませんか? と質問すると、

感度90%、特異度32%、LR+1.33、LR-0.30

6-itemの1:背中や腰にこわばりがありますか? はい・いいえ

はいと答えた方は、それは寝起き?・午後?・夜?・不定? と答えさせると、

感度48%、特異度75%、LR+1.94、LR-0.69

 

2.運動への反応

Calin質問票の7:運動で腰の不快感は改善するか? と質問すると、

感度67%、特異度63%、LR+1.80、LR-0.52

6-itemの5:運動は、腰の痛みにどのような影響を与えますか? 最悪にする・一貫した影響はない・改善させる と回答させると

感度53%、特異度70%、LR+1.80、LR-0.52

 

 

となる。

 

この報告は、作成した質問票の精度を確認するための研究ではあるが、

オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの違いが、鑑別に与える影響ともいえます。

特に朝のこわばりの項目では、それが顕著で、

オープンだと確定に使えて、クローズだと除外に使える

といった具合に質問の仕方で全然変わってきます。

 

問診の基本は、

最初はオープンで質問して、クローズで絞り込むのが一般的です。

 

ただ単に聞けばいいという訳ではないのが、面白いところであり、難しい所でもあります。