研修会講演と本日の抄読
今日は、鹿児島で鹿児島スキンタッチ会の研修会に参加し講演する予定です。
鍼灸師は、病院で行われる血液検査や画像検査などは当然行えません。
ですので、患者さんの話を聞き、身体所見を加味して治療適応なのか?どのくらいの状態なのか?を判断していきます。
鍼灸師や柔道整復師、さらには日本中で活動する整体師やカイロプラクテックの方たちにとって、身体所見は必須の技術と言えると思います。
今回はその中から、普段使いは出来ないけど、知っておくといざという時に役に立つかもしれない聴診器技術をお伝えする予定です。
さて、本日の抄読は、視診の所見です。
Ashrafian H. Hypothyroidism in the " Arnolfini portrait"(1434) by Jan Van Eyck (1390-1441). J Endocrinol Invest. 2018 Jan;41(1): 145-147.
Jan Van Eyck著の”Arnolfini Portrait"からみる甲状腺機能低下症 より
これは、画家であるJan Van Eyckが1434年に描いたArnolfiniの肖像画をみた著者による考察文です。この画家は、ターバンを巻いた男(自画像のようです)というタイトルの絵が代表作なようです。
今回のArnolfiniの肖像画はこちら↓
今回の論文の著者が注目したのは、眉毛と眼なんだそうです。
両眉の外側1/3程度が薄くなっていることから、甲状腺機能低下症を疑ったようで、この所見を「Hertoghe Sign(ヘルトーゲサイン)」と言うのだそうです。
そして、眼瞼下垂が両側にあることも、本疾患を疑う所見であるとしています。
また全身を黒い洋服で覆っているが、これから体感温度の異常を示唆しています。
よく分からなかったのですが、この絵は夏に描かれたものと推測しているようで、夏にこんな暑い恰好をしているのはおかしいということなんだそうですが、夏と判断した理由は窓辺にある果物だそうですが、夏の果物なのか?と私には判断できませんでした。
かりにそうだとすれば、体感温度の異常も甲状腺機能低下症を裏付けるとしています。
著者の考察の是非は保留しておき、今回はHertoghe Signを初めて知りました。
患者さんの顔をよく観察し、顔色や表情などだけでなく、こうしたサインを見逃さないようにしたいものです。