痛みに対する鍼治療への総説~アメリカ医学会の見解~
数か月前に日本の腰痛診療ガイドラインから、鍼治療の項目がなくなり、
あたかも腰痛に対して鍼治療の効果はないかのような印象をうけるという出来事があった。
腰痛に対する鍼治療のエビデンスは、良質なものも多く、鍼灸師としてのひいき目があるとしても、削除されるようなレベルではない。
今回は、アメリカの家庭医学会(日本でいうところの総合診療)から、痛みに対する鍼治療の総説が発表された。
Kelly RB, et.al. Acupuncture for pain. Am Fam Physician. 2019 Jul 15;100(2): 89-96.
これを読むと、
鍼治療は疼痛に対して、補完的医療とする立ち位置で、重大な医療過誤の少ない治療法であること。
その効果には、鍼の技術・使用される鍼の本数・置鍼時間・回数などの複数の要因が結果に寄与する。
そのため、いくつかの報告では偽鍼との比較で有意な差は認められない結果がでることがある。
しかし、慢性的な腰痛や緊張性頭痛、片頭痛の予防、筋筋膜痛に適度な効果を示している。
また急性腰痛や変形性膝関節症に関しては、疼痛の改善が期待できる。
とされ、
標準的な治療法では効果が乏しかった患者、または満足度の低い患者などでは、鍼治療は妥当な選択肢となる。
としています。
上の表をみてもらうと、ここに記載されているエビデンスレベルの高い報告が正当な評価を受けています。
全文を読めなかったけど、そのうち読んでおきたい報告の1つです。