肺炎について
今週、患者さんが咳、鼻水、微熱が4日前にあり、いったん治まったが、咳だけまた出だしたと、ご家族より相談を受けた。
患者さんは、風邪だと言うが、その他の疾患も鑑別する必要があるとして、病院受診を勧めた。
特に肺炎を否定できなかったためだ。
医師の診察の結果、肺炎は否定されたとのことで、ひとまずは良かったが、自分の中で肺炎を疑うルールを決めておく必要を感じた。
そこで、今回は肺炎について
肺炎は、~肺炎とつくものがいくつもある。しかし、これは大きく3分類すれば、すっきりする。
1)病原菌による分類
①細菌性肺炎
②ウイルス性肺炎
2)感染場所による分類
①市中肺炎~病院や診療所以外の場所で感染
②院内肺炎~病院や診療所、施設などに入院していて感染
3)感染部位による分類
①肺胞性肺炎~肺胞が炎症を起こす
②間質性肺炎~肺胞を支える間質が炎症を起こす
この他、誤嚥性肺炎も忘れない。
一言で肺炎と言っても、どの肺炎を指すのかを分けて考えないと、話がかみ合わないことになる。
病歴とバイタルサインでどこまで疑えるか?
Does this patients have community-acquired pneumonia? Diagnosing pneumonia by history and physical examination.
JAMA.1997 Nov 5;278(17): 1440-5.
Testing strategies in the initial ,management of patients with community-acquired pneumonia.
Ann Intern Med.2003 Jan 21; 138(2):109-18.
マクギーの身体診断学 改定第2版
より
病歴やバイタルサインの単独では否定できない。
そこで、これらを組み合わせたルールではどうか?
Diehr rule
鼻汁: -2点
咽頭痛: -1点
寝汗: +1点
筋肉痛: +1点
1日中痰が出る: +1点
呼吸数>25回/分: +2点
体温≧37.8℃: +2点
合計点が、
-1点未満(-3点~-1点): LR+0.22
-1点以上(-1点~0点): LR+1.5
1点以上(1点~2点): LR+5.0
3点以上(3点~7点): LR+14.0
となる。
仮に65歳以上の肺炎発生率を10%とした場合、-1点未満では事後確率は2%、3点以上の場合60%となる。
Heckerling rule
体温≧37.8℃
脈拍≧100/分
呼吸音減弱
喘息がない
これらの所見を探し、該当しなければ肺炎は可能性が下がる。