都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

神経内科

糖尿病性足部潰瘍について

糖尿病性足部潰瘍の臨床所見について。 Boyko EJ. How to use clinical signs and symptoms to estimate the probability of limb ischemia in patients with a diabeteic foot ulcer. Diabetes Metab Res Rev. 2019 Dec 16;e3241. 糖尿病性足部潰瘍患者の四…

胸椎の脊髄症はあまりみないけど

本日は、胸部脊髄症について。 胸椎椎間板ヘルニアなどにより、脊髄症となる疾患の総称。 Ando K, et al. Clinical features of thoracic myelopathy: A single-center study. J Am Acad Orthop Surg Glob Res Rev. 2019 Nov 4;3(11). 胸部脊髄症の臨床的特…

HTLV-1関連脊髄症(HAM)に関する報告

本日は、HTLV-1関連脊髄症のHAMについて。 2019年は、HTLV-1関連脊髄症(HAM)診療ガイドライン2019も発行されております。 まだ全部は、読めていませんが、そのうちまとめられたら書こうと思っています。 HAMは、鹿児島や北海道に多く、私も鹿児島にいた際…

頚髄症の方が求めること

本日は、変形性頚髄症患者さんが、回復に求める優先順位について。 Davies B, et al. Recovery priorities in degenerative cervical myelopathy: a cross-sectional survey of an international, online community of patients. BMJ Open. 2019 Oct 10;9(10…

ギラン・バレー症候群の先行感染は何がある?

本日は、ギラン・バレー症候群について。 ギラン・バレー症候群は先行感染が起こることが多いのは有名ですが、感染の原因菌について私はあまり知らない。 私が過去に経験したギラン・バレー症候群の患者さん8例程度ですが、「風邪」の後と答える方が多くて、…

雷鳴様頭痛の症例報告

本日は、危険な頭痛の1つである可逆性脳血管攣縮症候群の症例報告を読みました。 雷鳴様頭痛の中には、くも膜下出血や今回の可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)などが属します。 Ji JY, et al. Reversible cerebral vasoconstriction with thnuderclap heada…

bow-hunter症候群について

本日は、bow-hunter症候群について。 先日、当院に肩こり・首コリを主訴に来院されている方が、数日前にめまいが起きたと言われる。 話を聞くと、臥位になった際や座位時に右側を向くとめまい誘発。左側回旋では起きない。 前屈みでは起きない。 めまいは正…

施術部位になる?

本日は、最近思ったことなので、全く根拠のないことです。 循環器系疾患の徴候と灸治療について、考えています。 まずは、そう思ったきっかけの論文などを紹介。 Galassi FM, et al. Palaeopathology of the earlobe crease (Frank's sign): New insights fr…

馬尾腫瘍について

本日は、馬尾腫瘍の特徴は? 村岡智也、他.馬尾腫瘍の臨床像の検討.整形外科と災害外科.2000;49(3):708-711. 脊髄腫瘍のうち、馬尾部に腫瘍がある場合を、馬尾腫瘍と総称する。 症状としては、初期は腰痛・下肢痛などの神経根刺激症状が主体となり、腰…

髄膜炎の身体所見

本日は、髄膜炎の身体所見について。 以前も書いています。 「髄膜炎の診断特性」 https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/06/11/060000 髄膜炎は、発症原因となる起因菌で 細菌性髄膜炎 結核性髄膜炎 真菌性髄膜炎 ウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎) に…

良性発作性頭位めまい症に関する最近の報告

本日は、良性発作性頭位めまい症(BPPV)についてです。 以前も取り上げていますので、参考にしてください。 ・良性発作性頭位めまい症の総説 https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/05/27/163120 ・中枢性めまいの2症例 https://ararepyon.hatenablog.…

顔面神経麻痺と電気刺激

顔面神経麻痺に電気刺激はしてはいけない。 そんな意見があります。 そうした意見の根拠となっている報告(原著ではありません)を本日は扱います。 本当にいけないのか? なぜ、いけないのか? をしっかりと考えないといけません。 柏森良二.顔面神経麻痺の…

頭痛と顎関節症

本日は、頭痛を起こす顎関節症についてです。 二次性頭痛になりますが、鼻疾患、耳疾患、口腔疾患、顎関節疾患なども初診時には問診が必要です。 牧山康秀.顎関節症と関連する頭痛の診断と管理:顎関節症の臨床で必要な頭痛と脳疾患の知識.日顎誌.2018;30…

腰痛の慢性化は予測できるか?

本日は、腰痛は3か月以上持続したら、慢性化(慢性腰痛)とみなされます。 慢性疼痛は、疼痛持続に何らかの身体的現象が関与し、通常は心理的因子も関与している。 その慢性化する心理的要因には、恐怖回避行動が挙げられます。 腰が痛くなりそうなことはしな…

脊椎分離症の病歴と身体所見

先日、当院に10代の頃に腰椎分離症の既往がある患者さんが来られました。 そこで脊椎分離症を復習がてら調べてみました。 脊椎分離症は、腰椎に多く発生し、頚椎はまれ。 頚椎分離症に頚髄症を併発した症例報告などがあります(整形外科と災害外科.2014;63(2…

筋萎縮性側索硬化症について。

本日は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)についてです。 ALSは、たまにドラマなどで出てきますので、医療関係ではない方の認知度も上がってきている疾患です。 私は神経内科の病院に11年ほどいて、担当したALS患者さんは10人ぐらいと、発生頻度は低いので、な…

字が書けなくなった70代女性。

先日来院された女性に問診表を渡して、記入をお願いしようとしたら、 「字が書けないのです」と言われ、詳しく聞くと、字を書こうとすると手に力が入らずうまく書けないと言われる。 字の時だけか?と尋ねると、包丁でみじん切りなどの細かい作業も似たよう…

腰痛の意外な原因

本日は、腰痛を起こす意外な疾患についてです。 少なくとも私は知らなかったです。 Kashefiolasl S, et al. MRI-detection rate and incidence of lumbar bleeding sources in 190 patients with non-aneurysmal SAH. PLoS One.2017 Apr 3; 12(4): e0174734.…

足裏の神経絞扼障害

本日は、足根管症候群についてです。 足底の痛みは、糖尿病の末梢神経障害などもありますが、足根管症候群による内側・外側の足底神経の絞扼性障害もあります。 解剖: Moroni S, et al. Clinical-anatomic mapping of the tarsal tunnel with regard to Bax…

表情筋について

この数日は、顔面神経麻痺について取り上げてきました。 まずは、中枢性と末梢性の鑑別ポイント。 末梢性の場合、ベル麻痺が多く、症状固定までの期間や再発率、免疫力低下とつながりそうな職業などの報告を扱いました。 本日は、治療に関わる表情筋の話です…

ベル麻痺について

昨日は、中枢性と末梢性の違いについて書きました。 本日は、末梢性顔面神経麻痺で最も多い、ベル麻痺についての報告です。 Zhao H, et al. Bell's Palsy: Clinical analysis of 372 cases and review of related literature. Eur Neurol. 2017;77(3-4): 168…

末梢性と中枢性の顔面神経麻痺を鑑別するポイント

本日は、顔面神経麻痺についてです。 末梢性と中枢性がありますが、末梢性の代表的なのがベル麻痺、中枢性は脳卒中です。 その顔の麻痺の違いについて、 ベル麻痺のレビューから GildenDH. Clinical practice. Bell's Palsy. N Engl J Med. 2004 Sep 23; 351…

寒くなると、トイレが近くなりますね。

本日は、排尿に関する報告をいくつかまとめてみました。 下部尿路障害には、「蓄尿障害(頻尿・尿失禁など)」、「排尿障害(尿閉など)」、「排尿後障害(残尿感など)」の3タイプあります。 問診では、これらのタイプのどれか?を絞り込んでいくことになります。…

意外と多い腰痛原因の上殿皮神経障害

本日は、以前も取り上げた「上殿皮神経障害」に関する報告。 以前のブログも参照↓ https://ararepyon.hatenablog.com/entry/2019/05/30/060000 Kuniya H, et al. Prospective study of superior cluneal nerve disorder as a potential cause of low back pa…

腹痛では、アクネス・チャンを忘れない

本日は、腹痛に関する報告です。 Van Assen T, et al. Chronic abdominal wall pain misdaignosed as functional abdominal pain. J Am Board Fam Med. 2013;26:738-744. オランダで行われた過敏性腸症候群(IBS)を含む機能性腹痛と疑われた18歳以上の535…

変わった原因で起きた頭痛の症例報告

本日は、日本ならではのものが原因で起きた頭痛についての報告です。 あまりお目にかかることはないとは思いますが、何が原因で頭痛が起きたのか? Takemoto K, et al. Reversible cerebral vasoconstriction syndrome associated with a traditional japane…

めまいの眼振について

本日は、めまいです。 以前のブログ内で取り上げためまいの身体所見にHINTSという方法があります。 その中に、Head Impulse test(HIT)という頭部回旋で眼球の動きを観察するものがあります。 HITに関する動画です https://www.youtube.com/watch?v=-…

非麻痺側を温めると痙縮が和らぐ

本日は、全日本鍼灸学会九州大会で大分にいます。 脳卒中に関する発表をしてきます。 本日の論文は、脳卒中後の痙縮に対して、非麻痺側温熱刺激の効果を検討したものです。 Li S, et al. Different effects of cold stimulation on reflex and non-reflex co…

耳鳴りには、どんな鍼の方法がベストか?

本日は、耳鳴りに対する鍼施術の方法についての報告です。 引用文献は、 Kim BH, et al. A comparative study on the effects of systemic manual acupuncture, periauricular electroacupuncture, and digital electroacupuncture to treat tinnitus: A ran…

耳刺激でうつ治療

本日は、うつ病の比較的新しい治療法で、鍼灸に応用できそうな方法です。 話は脱線しますが、来月10月6日は全日本鍼灸学会九州大会があり、テーマは「脳からみつめる うつと認知症」となっています。 本日の文献は、 Fang J, et al. Transcutaneous vagus ne…